PPP/PFIの動向(その2)

官民連携
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1.セミナー参加
PPP/PFIの動向を知るにはセミナーに参加するのが手っ取り早い!
ということで、X投稿でもお知らせしましたが、令和6年度 官民連携事業の推進のための地方ブロックプラットフォーム「PPP/PFI研修」(国土交通省)に参加しました。内容はPPP/PFIの概要や事業の進め方、サウンディングの実施手法で、対象はPPP/PFIに関心のある地方公共団体職員、民間事業者でした。私は民間事業者側なので7月10日の午後に聴講しました。(資料はHPからダウンロード可)
また、もう一つ日本PFI・PPP協会主催の「PPP/PFI推進アクションプラン(令和6年改定版)解説・ウォーターPPP(上水道・下水道)セミナー」にも7月23日に参加しました。こちらは資料が一般公開されてないのですが、講演の資料は国土交通省で公表されているもの(主に下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン 第1.1版)を中心に構成されていました。
誰が講演するのかというのはセミナー参加においてとても重要です。どちらのセミナーも内閣府、国土交通省による説明がありました。

2.PPP/PFIの情報源
(1)内閣府の民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)
セミナーは平日が多いし、仕事の都合でなかなか参加できない!という方向けには、内閣府の民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)のHPから情報収集する手があります。
ここにはPPP/PFIについて基本的なことから丁寧な説明資料があります。

特に、PFI事業の概要 (2023年7月 / 内閣府民間資金等活用事業推進室)は最新でわかりやすい内容となっています。従来方式と他の方式の何が違うの!?という時にわかりやすいのが、このPFI事業の概要のP4に示されているPPP事業類型をマッピングした図です。

図 PPP事業類型をマッピングした図(出典:PFI事業の概要/ 内閣府)

民間事業者の経営関与度としては、指定管理者制度は意外と小さく、公募設置管理許可制度(Park-PFI)はかなり大きい位置づけとなっています。
民間資金活用度としては、PFIの公共施設等運営事業(コンセッション)が最も大きい位置づけとなっています。

(2)国土交通省PPP/PFI(官民連携)
国土交通省の官民連携の動向については、国土交通省 総合政策局 社会資本整備政策課のHPに示されています。国土交通省では、下図のとおり各段階で官民連携支援を行っており、講習会の実施もその一つです。

図 社会資本整備政策課支援施策の全体像(出典:国土交通省PPP/PFI(官民連携)HP)

3.PPP/PFIを推進する理由
(1)PFI導入による効果
内閣府民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)は、PFI導入による効果を次のように示しています。
Q:PFI導入によるメリットは何ですか?
A:PFIの導入によって、次のような効果が期待されます。
・国民に対して、安くて質の良い公共サービスが提供されること
・公共サービスの提供における行政の関わり方が改善されること
・民間の事業機会を新たに創り、経済の活性化に貢献すること

Q:何故、PFI事業では「安くて質の良い公共サービス」が提供できるのですか?
A:PFI事業では、設計・建設・維持管理・運営といった業務を一括で発注し、“性能を満たしていれば細かな手法は問わない”性能発注方式が採用されています。また、効率的なリスクの管理、良好な競争環境の構築などを期待することができます。これらにより、民間のノウハウを幅広く活かすことができることから、安くて質の良い公共サービスの提供を実現することができます。

出典:内閣府民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)よくある御質問(FAQ)

効率的な発注方式である一括発注の採用、仕様発注で示されたとおり実施するのではなく、自由度の高い性能発注がポイントですね。
言い換えれば、まとまった量の仕事を、民間の工夫を引き出せる環境でというところですね。


(2)PPP/PFI推進の背景
国土交通省は、PPP/PFI推進の背景を次のように示しています。

従来のやり方では公共施設、公共サービスの維持は困難
○「事後保全」から「予防保全」への転換が必要
新技術やデータの積極的活用集約・再編等の取組による効率化

インフラの維持、また地域の活力を維持、向上させていくためには、「官」と「民」が連携して取り組むことが不可欠
老朽化が懸念される公共施設等の整備や維持管理、運営について、既存ストックや地域資源をできるだけ有効に活用しながら、民間のノウハウや資金を柔軟に取り入れていくことは有効

出典:令和6年度 PPP/PFI研修 PPP/PFIの導入に向けて(国土交通省)

これらから、将来の見通しを立てて公共サービスを維持していくことは官側だけでは難しく、民間の関わりを高めていく必要性があることからPPP/PFIを推進したいという意図がわかります。
民が長期間維持管理することでデータやノウハウが蓄積され、技術継承や新技術の導入機会も増え、効率化が進むことが期待できます。

4.ウォーターPPPへ
ウォーターPPPという言葉が昨年から聞こえてきます。ウォーターPPPとは、上工下水道を対象としたレベル3.5及び4の官民連携方式です。PPP/PFIの動向(その1)で示したとおり、上水道、下水道、工業用水道の官民連携を進めたいという国の意思が、まさにこのウォーターPPPといえるでしょう。

レベル3.5:管理・更新一体マネジメント方式で次の4要件を満たすもの
①長期契約(原則10年) ②性能発注 ③維持管理と更新の一体マネジメント ④プロフィットシェア*
レベル4:コンセッション
*プロフィットシェア:改善提案により低減された維持管理費用等を官民で折半

出典:下水道分野におけるウォーターPPPガイドライン 第1.1版

このレベルは包括的民間委託のレベルで、レベル3までは資本的支出に該当しない範囲とされています。資本的支出とは建設工事などの工事発注等の支出で、簡単にいうと施設の更新工事のための支出です。地方公営企業法では3条予算、4条予算という言い方をしますが、3条は維持管理や修繕の支出でレベル3、4条は改築など建設改良工事の支出でレベル4ということになります。

レベル3.5の4条件である①長期契約 ②性能発注 ③維持管理と更新の一体マネジメント、④プロフィットシェアは、まさにPPP/PFIのメリットと言われているところに一致します。

5.まとめ
今回は、内閣府や国土交通省が中心となって進めているPPP/PFIの導入メリットなどを示してきました。メリットやデメリットを示したPPP/PFI手法の比較表は世の中にたくさん出回っていますが、自分なりに整理したわかりやすい比較表を作成しているところです。次回にはお示ししたいと思います。