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都市計画を体系的に学ぶ(その2)

都市計画

都市計画は関連法令が多く、これに紐づいて策定が求められる計画は多岐にわたります。
国、都道府県、市町村がどのような計画を立てているのかについてはホームページで確認することはできますが、A市では作成しているのにB市では作成していないというものもあったりします。
何の法令に基づいて作成されているのか、計画の作成は必須なのか等、気になるところを整理しておきたいところです。
以下に計画策定に参考となるガイドラインや手引きはどのようなものがあるかも含め、主要な計画についてまとめてみました。

1.国土計画・総合計画
まずは、国土利用計画です。これによって、国土が都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5つに分けられます。国はこれを定め、都道府県や市町村は定めることができるとなっています。
都道府県の策定は義務ではありませんが、国土交通省の「都道府県 国土利用計画関連リンク集」を見ると意外と未策定の都道府県があります。
次は国土形成計画ですが、全国総合開発計画に始まり、最新計画は第三次国土形成計画となっています。国による全国の開発計画で、第三次では目指す国土の姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、その実現に向けた国土構造の基本構想として「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図ることとしています。
これらは国土利用計画と国土形成計画は一体的に策定されるものとなっています。
都市計画は、国土利用計画において「都市地域」に位置づけられた範囲になります。

都道府県や市町村の最上位に位置づけられる計画としては、基本構想(総合計画)があります。この計画は地方自治法で策定義務が課されていましたが、平成23年5月の法改正で策定義務は無くなりました。しかし、地方自治体の全体計画の策定は不可欠であるため、各自治体の条例で計画の策定を根拠づけしているようです。
確かに、自治体のマスタープランである総合計画は無くても大丈夫とはなりませんよね。


2.都市計画・開発等
都市地域が定まると都道府県によって都市計画区域マスタープラン(通称:区域マス)が作成されます。これに土地計画区域の整備、開発及び保全の方針も定められます。
市町村では区域マスに基づき、都市計画マスタープラン(または市町村マスタープラン/通称:都市マスまたは区域マス)が作成され、都市計画に関する基本的な方針を定めて地域地区や都市施設などの計画が定められます。そして、この都市マスと併せて立地適正化計画を作成することができ、コンパクト・プラス・ネットワークの形成に向けた取組みが定められます。
その他には、中心市街地活性化基本計画、空家等対策計画などがあり、いずれも法令に基づく計画です。
ちなみに法令では、
義務:しなければならない(通常、罰則規定あり拘束力高い)
努力義務:するように努めなければならない(罰則なし)
責務:責任をもって果たさなければならない(罰則なし)
のようですが、はっきりと定義されていないようなので努力義務≒責務、努力義務<責務と理解しています。


3.国土強靭化・防災
都市計画と関連する計画としては、国土強靭化基本計画や防災基本計画があります。
特に、事前復興まちづくり計画、防災都市づくり計画、防災街区整備地区計画は都市部局が中心となって作成する計画であり、都市マスとの関係性が高い計画となっています。
事前復興まちづくり計画は法令でなく、国の防災基本計画に対応する形となっており、防災都市づくり計画も法令ではなく都市局長からの通知の基づいているところがポイントです。
近年、気候変動や自然災害による被害が多発していることもあり、防災関連の計画策定の重要性は以前よりも高まっていると感じます。


4.交通、景観・緑化・環境
交通に関する計画は、国が定める交通政策基本計画があり、地方自治体は地域公共交通計画を策定することになります。地位公共交通計画はコンパクト・プラス・ネットワークを図るための立地適正化計画とも密接に関係しています。
景観・緑化・環境等に関する計画は地方自治体で定めることができるとなっています。これらは都市開発とは相対して開発抑制・調和を図る意味合いが強い計画に位置づけられます。


5.まとめ
整理してみると都道府県や市町村が計画策定の義務を課されているものは多くはありませんが、実情としては必要に迫られたり、他都市に倣ったり、補助金・交付金の活用を目的としたりして計画を策定している自治体は少なくないという印象です。

国は法令を制定し、地方自治体はそれに従って計画を立てて事業を実施し、計画に掲げた目標を達成していくことで、課題解決が図られていきます。
そのために国は、計画導入のための手引きやガイドラインの作成、補助金や交付金による支援、先行事例の紹介等を手掛けおり、特に近年は優良事例や表彰によって取組みを推進しているように感じます。

法令~計画策定は、国主導によって地方自治体を誘導しているように見えますが、地方自治体や民間企業、住民等からの積極的な意見・提案を引き出していくことも重要です。
今後、地方の主体性を発揮させる事例や取組みについて整理し、記事にしたいと思います。