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過去の技術士口頭試験を振り返り今思うこと

技術士

現行試験制度における技術士口頭試験は先日投稿したとおり、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)を中心とした質問となっています。
ある意味”型にはまっていて対策しやすい試験”のように感じるところもあり、専門的なことはあまり聞かれなくなりました。
ふと、専門的なことが聞かれなくなったのは何故?と思いました。

過去に私が受けた技術士口頭試験ではかなり幅広く専門的なことを聞かれました。
現行では口頭試験の時間は20分ですが、当時は30分でした。


平成16年度 技術士二次 口頭試験より
部門:上下水道部門:上水道及び工業用水道
日時:平成16年12月5日
場所:渋谷 フォーラムエイト7F
時間:14:00~14:30の30分

試験官A:進行役:メーカー風。50歳くらい
試験官B:専門分野の質問役。公務員風60歳くらい。

口述試験内容
試験官A
(受験動機など)
1 .なぜ技術士を取得しようと考えましたか?
2 .技術士は世間の認知度が低いが、世間に広めるためにはどうしたら良いでしょうか?
3 .技術士を取得したらどう役に立てますか?
4 .公共の為に貢献するとはどういうことですか?
(経験論文)
5 .経験論文の内容について説明してください。
6 .シールド施工の延長は最大どのくらいまでできますか?
7 .シールドの曲線は延長に影響しますか?
8 .なぜその口径のセグメントを採用したのですか?
9 .業務を行ったときのあなたの立場は?
10.鋼管とダクタイル鋳鉄管の使い分けはどのようにしていますか?
11.使い分けの分岐点となる口径はどの程度ですか?
12.配水管路を計画する上での留意点は?
試験官B
(専門分野)
13.浄水処理に関することの経験はありますか?
14.水道の水源となるものを挙げてください。
15.地下水の水質において注意することはなんですか?
16.塩素消毒は副生成物が発生しますが、なぜ塩素消毒を行う必要があるのですか?
17.副生成物には何がありますか?
18.もうひとつ挙げてください。
19.平成15年に水質基準が改定されましたが、どのようなものがありますか?
20.急速ろ過と緩速ろ過について説明してください。
21.急速ろ過と緩速ろ過を比べて、あなたはどちらが良いと考えますか?又その訳は?
22.平成12年度の厚生省令で水道施設の技術的基準を定める省令が出されましたがどのようなものですか?
23.性能設計が取り入られていることについてどう考えますか?
24.平成12年度以降、水道事業者と関わるコンサルタントとして設計方針に何か変化はありましたか?
試験官A
(技術士法・技術者倫理)
25.技術士法改正により技術者倫理が追加されましたが、技術者倫理とはどういうことですか?
26.技術者倫理を疑う事件を挙げてください。
27.もうひとつ例を挙げてください。
28.資質の向上も追加され、CPD等が取り上げられていますが、現在あなたはどのように専門知識を高めていますか?
29.論文の発表はありますか?
30.技術士となった時の抱負を述べてください。
(まだ何かありますか?と試験官Bへ)
試験官B
31.最後にひとつ。今年6月に発表された水道ビジョンの内容の中で、あなたが貢献できることはなんですか?


こうしてみると、コミュニケーション、リーダーシップ、評価、マネジメントの要素がほとんどなく、専門と技術者倫理が中心です。
この口頭試験にパスできた時は、専門についてかなり自信を持つことができるようになりました。

今この質問を見て思うことは、当時は専門知識を重要視していたということです。
技術士なので当たり前なのですが、頭の中にある知識を問われていた気がします。
では、今は知識よりもコミュニケーションやリーダーシップなどが重視されるのか?

専門的学識も大事ですが、ネットで調べれば情報が得らえる現在においては、頭の中にある知識の重要性は以前に比べて相対的に低くなっていると感じます
今は知識や情報をどう活用するか、どう問題解決に役立てるかということが問われる時代になったと思います。そのためにはコミュニケーション等他のスキルも一定以上必要ということでしょう。コンサルティングに必要な能力も問われていると感じます。

私は経済産業省の未来人材ビジョン(令和4年5月)で取り上げられている内容や切り口が好きで、度々引用していますが、将来に求められるとされている問題発見力や的確な予測といった能力は技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)や現行試験の傾向(観点、課題、解決策、リスクなど)と重なる部分が多いと感じます。

経済産業省の未来人材ビジョン(令和4年5月)P20より

こうした振り返りなどを踏まえ、単純に知識を頭に詰め込むことよりも、”問う力”、”予測する力”、”改善する意識”を大事にしていきたいと思いました。そして、今の技術士は単なる頭でっかちな技術者ではなく、スマートな技術者になるための資格になったと感じました。(改めて技術士っていい資格だと実感。)

今はAIに質問すればそれらしい回答が得られます。回答の精度は今後向上していくと考えられるので、日頃から”問う”ことを意識して情報をうまく収集し、問題発見や的確な予測といった需要に応えられる技術屋でありたいと思う次第です。

Xに投稿したとおり、80歳(2053年!)まで働くことを想定し、未来人材ビジョンを意識しながら、年齢マイナス20歳の健康と容姿(+柔軟な思考)を手に入れることを目標に掲げます!