今回は技術士口頭試験の基本的なこと、補足としてお伝えしたいことをまとめました。
なお、技術士口頭試験対策の基本として、以下について確認しておくことをおススメします。
技術士法
日本技術士会HP
技術士倫理綱領
技術士試験合否決定基準
技術士第二次試験実施大綱
技術士第二次試験受験申込み案内
平成31(2019)年度 技術士試験の概要について
技術士プロフェッション宣言
修習技術者のための修習ガイドブック
文部科学省HP
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)
「技術士に求められる資質能力」の解説
文部科学省 試験部会 開催状況
1.試問事項と合否決定基準
(1)試問事項
技術士第二次試験実施大綱のP3に「筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施」とあり、評価対象は下表の4項目です。
技術士口頭試験Q&Aでも示したとおり、筆記試験における記述式問題の答案からも質問がある可能性があるので注意しましょう。
(2)合否決定基準
合否決定基準は各試問事項に対して60%以上の得点です。20分以内に各試問事項に対して質問を受けなければ回答できないので、質問に対しては簡潔に要点をまとめて回答する必要があります。100点満点を狙うよりはバランス良く80点狙いで良いというところです。
2.補足事項
(1)法律・法改正
令和元年度の受験者から聞いた話ですが、下水道法の第一条を聞かれたそうです。法律の第一条は法律の目的等が定められた基本中の基本なので押さえておきましょう。特に法改正があれば新旧対照表を確認しておくことが無難です。
(2)評価
評価は自己評価、社内評価、顧客の評価、ユーザーの評価と段階があり、それぞれの評価を把握しておくことが望ましいと考えます。
「技術士に求められる資質能力」の解説に示されている下図のとおり、設計段階、実現段階、使用段階の評価があり、受益者への直接効果や社会への波及効果を経て事後評価に至っています。
計画・設計・施工に関わり無事完了することろまで見届けても、その後どのように使われているか、使っている人たちの雰囲気や表情はどうなのかを知っておいた方が良いですね。
私は、実際に計画・設計で自分が携わった現地へ訪れてユーザーの観察をし、改善点を探りました。
出典:「技術士に求められる資質能力」の解説 2014 年9月 国際委員会IEA対応 WG
(3)3義務2責務
3義務2責務は最近は聞かれないかもしれませんが、念の為押さえておきましょう。
「信」用失墜行為の禁止
「秘」密保持義務
「名」称表示の場合の義務
「公」益確保の責務
「資」質向上の責務
しん・ぴ・めい・こう・し
と3つの義務、2つの責務で覚えるのがシンシン流です。
さらに、平成16年度の口頭試験で聞かれたので罰則も覚えておいた方が無難。
技術士法より
①主な罰則業務に関して知り得た秘密の漏洩又は盗用:一年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
②技術士の名称の使用の停止期間中に名称を使用:30万円以下の罰金。
③技術士でない者が技術士又はこれに類似する名称を使用:30万円以下の罰金。
①は秘密保持義務違反ですが、秘密漏洩は損害賠償の方が大きいでしょう。
(4)参考
口頭試験の質問では、「今からマネジメントについて質問します」というように、どのコンピテンシーについて質問するのか予め説明があるのが一般的です。万が一その説明がなければ、次のキーワードから類推して、念のために「マネジメントの観点からの回答でよろしいでしょうか」と確認すれば良いと思います。
3.まとめ
資格は、SNSで例えれば国から認められてフォローしてもらうようなもの。
それを判断するために、口頭試験ではまずプロフィールをチェックされ、口頭試験で見極められます。
国は資格者の活躍を期待しているので、意地悪に落とすような質問は基本的に無いと思います。
本当にわからない時は、素直にわからないこと、調べておくことを伝えて何とか乗り切った例も少なくありません。当の私も、法改正の際に水道法水質基準で改正された項目が一つ答えらなかったのですが、「一つだけ思い出せないので調べておきます」と回答しました。しかし、その後別の質問でその項目を回答し、試験管に「さっきあなたが答えられなかったのはそれですよ」と言われました。(いわゆる助け舟、誘導のような質問でした)
このような事例もあり、一つの質問に答えられなくてもいきなり60点未満とはならないので、焦ることなく冷静に対処すれば大丈夫です!