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転職(その1)

転職

私はこれまでに2回転職を経験しました。
1社目は2年1か月、2社目は25年8カ月勤務しました。
また、採用の立場でも転職市場と関わることもありました。
転職について聞かれることは多いので記録としてまとめてみました。

1.1社目
1社目は、東京の都市計画・開発系の建設コンサルタントで120人くらいの規模の会社でした。売上の7割が民間、3割が公共と民間比率が高めなところが特徴でした。
主な業務はニュータウン等の宅地造成や土地区画整理事業支援、ゴルフ場やスキー場などのリゾート開発支援等で、某リゾート開発の交通量調査等もやってました。
この会社はバブル期にはかなり調子がよかったようで、T先輩(30代の主任)は軽く年収1000万円を超えていたとのことでした。
私が入った時は既にバブル崩壊後で、1年目は残業代無しという状況でしたが、会社が保有する保養所でクルーザーや水上バイクを体験したり、社員旅行でハワイへ行ったりとバブルの余波を経験することはできました。
ちなみに、T先輩は仕事ができて後輩の面倒見も良いイケてる方でした。1年目の私に向かって「企業戦士にならなくてもいいよ」と言ってくれたことは今でも鮮明に覚えています。(当時としては先進的な感覚を持っていた方でした)

民間の顧客はデベロッパー、ゼネコン等でした。
信頼関係があれば特に資格者がいなくても仕事はできます。
このため、会社には技術士やRCCMはほとんどいませんでした。
しかし、バブル後ということで民間の大規模開発の仕事は収束に向かっているような状況でした。
会社として公共事業比率を上げていこうという時期だったと思います。
私の仕事も公共事業の割合が多くなっていきました。
そして、これからは公共事業で食べていくしかないと思うようになっていきました。

民間開発系の仕事が減少し、公共事業に注力するのであれば資格者が必要となってくることくらいは当時の私でも理解できました。
そんな時、前出のT先輩が「私、技術士とりますよ」と宣言しました。
(T先輩、カッコいいと思いました)
しかし、課長も周りの人も鼻で笑っていたことを覚えています。
私は「え!?みんな技術士を普通に目指しているんじゃないの?」と思いました。
仕事の内容としては面白くないことはなかったのですが、これを機に「技術士の下で働いてみたい」という気持ちが高まったことは確かです。

また、当時2年目で水道の仕事を一任されていました。
というよりは丸投げされていました。わからないことがあれば「外部の詳しい人に聞いてね」という感じでした。
この状態に対して「水道の仕事やるなら水関係が強い会社に行った方が良さそうだ」と考えるようになりました。
さらに、同居していた単身赴任中の父が地元に戻るという話を聞き、それなら自分も地元に帰って就職活動をしようと考え、退職を決意しました。(収入的に一人暮らしするのも厳しかったので)
こうして、転職先も決めないまま社会人3年目の4月末に退職して実家の愛知に帰ることになりました。

入社後2年1か月での退職。
お世話になった先輩や同期には申し訳ない気持ちは当然ありました。
送別会もしてくれて、社長からは餞別もいただきました。
2年1か月の間、育ててくれたことには今でも感謝しています。
決して悪い会社ではなく、退職の理由は本当に自己都合です。

<退職のきっかけ>
・会社の転換期で今後の方向性に疑問を持った(公共事業注力なら資格者育成では?)
・自分が任された分野について教育できる専門家がいなかった(結果的に関心が高まった)
・家族の事情(父は私が高校時代から単身赴任だったので久しぶりに家族が揃う機会があった)
<退職の理由>
・水道の仕事に対して関心が高まり、今後は水道を専門的にやっていきたいため(自己都合)
<退職の本音>
・先輩たちがやってきた民間開発系の仕事はやりたいけど今後下火になりそう(失意・不安)

最近の若者の離職率は入社3年以内で約3割という話を耳にすることがありますが、彼らの気持ちがわからないでもないです。
相性が悪かった、思っていた環境と違った、仕事内容にギャップがあったなど、多くはマッチングの問題であり、退職した会社が一般的に見て良いか悪いかは別問題だと思います。
一方、管理職や雇用する立場としては再発防止の観点から、このような退職のきっかけについてしっかり把握しておく必要があると思います。
退職の理由というのは割と後付けで、決断に至るきっかけが何だったのかを探ることが大切だと考えます。

結果として1社目は円満に退職しています。(その後会社に訪問し、先輩や同期にも時々会ってます。)
奇遇にも10年以上経った後、某スーパーゼネコンから設計協力依頼先として1社目を紹介されたことがありました。
建設業界に限った話ではありませんが、縁は大事にしたいものですね。


2.転職活動1回目
今考えると恐ろしいのですが退職することで頭がいっぱいで、転職先についてはほとんど検討していませんでした。
5月からようやく転職活動を開始。当時は今のようにネットの情報は得られず、転職情報誌等の紙媒体の情報が頼りでした。
社会人として3年目であったため、いわゆる第2新卒という類で新卒の学生に混じっての転職活動となりました。

転職先としては、大手上下水道コンサルタントを有力候補として公務員も視野に入れてリサーチしました。
・大手上下水道コンサルタント2社は募集終了。1社はまだ募集中。
・水資源公団は募集終了。国家Ⅰ種、東京都は募集中。
慌てて試験対策を始めました。

6月に国家Ⅰ種、東京都、上下水道コンサルタント、JT(募集していたので)の採用試験に臨みました。
国家Ⅰ種は撃沈。(しっかり準備が必要だと実感)
JTも撃沈。(あなたが1週間で市長になる方法は?など試験内容が謎すぎでした)
上下水道コンサルタントの筆記試験(数学、英語、論文)は通過し、大阪で面接となりました。
転職活動1社目の面接です。
面接会場で次が自分の番という時、面接室から英語でのやり取りが聞こえてきました。
やばい、なんてところに来てしまったんだと焦りました。
いざ面接へ。ギラギラした雰囲気の面接官でしたが、幸いにも英語のやり取りはありませんでした(笑)。
面接の結果は不合格。理由は覇気がないとのこと。
言われてみればそのとおりで「水道はほとんどやってないよ」という話を聞き、面接の途中からすっかりやる気をなくしてしまいました。まあ、いいかと思いました。世に出ている情報と違うよと思いました。
私の企業リサーチ不足なら仕方がありません。

しかし、その会社の採用担当の方が、東京でもう一回面接をしたいと言ってきました。
筆記試験の成績が良いので副社長が直接面接をしたいとのことです。
ということで7月上旬に東京の面接に臨みました。
以下はその時のやり取りです。

副社長「君は筆記試験が良かった。数学は満点で英語も良く、論文の内容も良かった。新卒の学生よりも出来がいいのは何故か?他にも採用試験を受けているのか?」
私「公務員試験を受けています。公務員試験は土木等専門に関する問題もありますので幅広く勉強していました。」
副社長「まあ、公務員試験に比べたら基礎的な問題だよな。公務員試験に受かったら行くのかな?」
私「いえ、技術士の下で働きたいのでコンサル志望です。」
副社長「それなら公務員試験は何故受けたの?」
私「・・・公務員の立場で働くことも興味がありますが・・・力試しというか(しまった)」
副社長「それは公務員試験に失礼だね。」
私「コンサルとしては御社しか受けていません(汗)。確かにご指摘のとおりです。」
副社長「実はね、大阪の面接をした者がね、君に覇気が感じられないと言ってたんだよ。」
私「そうなんですか・・・。水道の仕事をしたいと思っていたのですが、やっていないと言われたので、ショックを受けていたのだと思います・・・」
副社長「水道は手広くはやってないけど、君の地元の名古屋の事務所にも水道の技術士はいる。そこでは水道の仕事はできる。やってみるか?」
私「はい、水道の技術士の下で仕事をしたいです。」
副社長「そうか、わかった。」
この言葉を最後に面接が終わりました。

そして、帰りの新幹線の中で採用担当から電話がありました。
結果は合格で、採用したいので7月21日から来て欲しいとのことでした。

家に帰って両親に結果を伝えました。
私の中では公務員試験(東京都の筆記試験は手応えはあった)もあるので、就職は翌年4月からを想定していました。
しかし、採用通知を出した会社は公務員試験のことを知っているので、そこまで入社を待ってもらえないのは明らかです。選択が迫られました。
そこで母に言われました。早く働きなさいと。
既に無職となって2か月。これがまだ半年以上も続くとなると親としてもゾッとします。
確かにそうだと思い、7月21日に上下水道コンサルタントに入社することを決断しました。

面接不合格から一転して合格。貴重な経験でした。
入社後して間もなく、東京都の筆記試験合格の結果が届きましたが面接は受けませんでした。
その後この会社に25年以上勤務することになったので、結果的には1回目の転職は成功でした。
民間企業や東京都の筆記試験合格は、その後の資格試験勉強に向けての自信にもなりました。
今、振り返ると反省点は多々あります。

<転職1回目の反省点>
・転職先を決めてから退職すべき。(両親に心配をかけた。経済的余裕もなかった)
・転職先はしっかり時間をかけてリサーチすべき。(選択肢は多い方がいい)
・何を優先するかを明確にすべき。(技術士の下で働き技術士になる道を選択)
・面接で精神面を揺さぶられない。(ショック与えるような質問を敢えてするケースもある)
・面接でこちらの手の内を明かさない。(公務員と民間を受ける人はだいたい公務員志望)
・似たような会社を複数受ける。(1社だけだと比較できない)
・転職する時期を決めておく。(せっかくの機会なので半年休んで海外へ行く等もあり)

皆さんの転職活動の参考になれば幸甚です。(その2へ続く)