技術者の知名度と認知度

エンジニア

公共に携わる技術者(コンサルタント・エンジニア等)の知名度や認知度は重要か?
土木分野(公共事業や公益事業)に携わる技術者は一般市民からの知名度や認知度は低いことが多いです。もちろんその業界での有名人はいますが、知る人ぞ知るという感じです。
一方、建築分野は民間の事業が占める割合が高く、知名度や認知度の高い建築家が存在します。それでも一般的には知られていないことが多いですが、建築家や一級建築士という職業名の知名度は高いです。

知名度や認知度の定義を調べてみます。
「知名度」世間にその名が知られている度合い。
「認知度」一般的にどの程度知られているか、という度合い。
さらに類似語でブランドやブランディングは次のとおりです。
「ブランド」商標や製品名、独自の特徴や価値観を持つもの、烙印を押すことやその痕跡。
「ブランディング」ブランドの価値を高めていく取り組み。
(いずれもWeblio辞書より)
知名度は名前は知っている、聞いたことがあるというレベルで、認知度は名前以外にもそれがどういうものか知っているというレベルです。
建築家、一級建築士は知名度が高く、名称から何をしている人か連想できるので認知度も高いと言えます。知名度はあるが何をしているのか伝わらない場合は、肩書きやキャッチフレーズを加えると、認知度が高まります。ちなみに私は知名度も認知度も低いため「鈴木真介(技術屋)」と名乗っています。

日本を代表するグローバル企業「ソニー」、「任天堂」、「イオン」等は、企業名だけでなく、どんな会社であるかも多くの人に知られています。つまり認知度が高いと言えます。「トヨタ自動車」も社名に「自動車」と入っていますが、「トヨタ」だけで通じます。自分が何者か名乗らなくても相手にわかってもらえる状態になると、認知度が高いと言えます。この状態になると名前そのものに価値があり、ブランドとして確立していると言えます。シャネル、ヴィトン、ロレックス等もブランド名で何を売っているのかわかります。芸能人も自分の名前がブランドになっています。

話を戻し、公共に携わる技術者の知名度や認知度は重要か?について考えてみます。
まずは誰を顧客にするかによって、誰に対して知名度や認知度を高める必要があるか異なってきます。
公共事業や公益事業の発注者は国や地方公共団体であり、個人名ではなく企業名で仕事を受注するため、企業名を国や地方公共団体を中心にPRしてきました。また、一般市民に対する知名度や認知度はそれほど重要でないと考えられてきました。しかし現在、深刻な人材不足の問題を抱える企業は、学生やその両親にまで知名度や認知度を高める必要性が生じています。最近、建設会社がCMにタレントを起用する背景には人材不足があり、建設業界においても一般市民に対して企業名や企業の魅力を発信する時代となっています。また、知名度や認知度だけでなく、イメージアップやブランディングの観点からも企業名を世間一般に浸透させることが重要視されています。これは企業がSNSを活用していることからも明白です。
企業はともかく、技術者個人の知名度や認知度はそれほど重要ではないのではないかという見方もあるかもしれません。しかし、これから働く人にとっての憧れの対象は企業だけでなく、職業や個人も含めて考えた方が可能性は広がります。個人の認知度獲得は個人の力にかかっているかもしれませんが、職業については、企業・団体や業界がブランド力を高めていく意義はあると考えます。
では、個人の知名度や認知度を高める効果はないのか?
まず、働いている業界で名前を知ってもらうことで、仕事等の声がかかる可能性が高まります。
これまでは設計・施工分割発注でしたが、設計・施工一括発注となると複数の民間企業が手を組むことになります。国や地方公共団体が民間企業の技術者を指名することはほとんどありませんが、民間企業間であれば何の制約もなく技術者を指名することは可能です。著名な技術者が存在することで企業の受注機会が増えることも考えられます。
個人の知名度や認知度が業界内で高まれば個人が所属する企業に、一般に知れ渡れば企業だけでなく業界や職業にも、スポットライトがあたることになるでしょう。

まとめ
世間一般に知名度や認知度を高めたいもの:企業名、業種、職業、資格者等(できれば個人も)
その業界において知名度や認知度を高めたいもの:企業名、個人名

個人の名を売るにはどうしたらよいか?
私は資格が最も簡単な手段だと考えます。資格は相手にどんな職業なのか、何をしている人なのかを端的に伝えることができます。資格がなくても自称で肩書きを語ることはできますが、ブランドには信用が必要です。有名大学卒や有名企業出身も大学や企業のブランド力を借りていますが、いま所属していない団体や組織の名前を借りるのはなんか後ろめたさを感じます。
よって、個人のブランディングは手始めに資格を取得することです。
そのためにも、知名度や認知度の高い資格をとっておきましょう。
また、知名度や認知度がまだまだな資格であっても有力な資格であれば、個人、組織、企業、団体、業界がその資格のブランディングに関与すべきと考えます。

(参考)
このホームページのボトムメニューに土木・建築関係 記念日・年間行事を掲載しています。
残念ながら日本にはエンジニアの日、技術士の日がありません。この職業や資格について国民の関心や認知度を高めていくためにも、速やかに日本政府や日本技術士会の方に記念日を制定してくれることを期待しています。
Engineer’s Day / Wikipedia