技術者の市場価値

エンジニア

年末は転職市場が盛り上がる時期のようです。
人口減少時代の我が国で人材不足、技術者不足が進行し、社会の抱える課題に対して技術者の力を必要とする場面が多いほど、技術者の市場価値は高まります。
多くの技術者は企業に勤務し、上司や人事、さらには顧客から評価を得る機会があります。
しかし、時には自己評価と会社の評価が異なったり、会社と顧客の評価が異なったりして、自分の価値を正しく理解してくれないと思うこともあるでしょう。

1.自らの技術者ステータスを整理する
そもそも自分の価値を正しく認識していますか?
ロールプレーイングゲームではキャラクターの能力、経験値、所持する武器などの状態が数値化されています。いわゆる現在のステータスが一目瞭然。
現実世界においても仕事の能力、経験や年数、所持する資格等がそれにあたります。
つまり経歴書は現実世界の現在のステータスを示します。

2.技術者ステータスは貴重な情報
業務で経歴書の提出を求められる場合は、顧客に最新の情報をお伝えするために毎年アップデートすることになります。
経歴書の作成は経験を積んでいることが実感できるので、経歴書の提出が求められない場合でも経歴書を作成し、定期的にアップデートすることをおススメします。
その中でも、代表的な業務、思い入れのある業務、苦労した業務などメモしておくといろんな場面(自己紹介、技術士等の資格試験、転職など)で役立ちます。
社会人ステータスとして一般向けに整理すれば婚活にも役立ちそうです(笑)

3.技術者の客観的評価を整理する
企業に勤めている場合の技術者の評価は、所属組織、役職や年収等で示されます。
私は入社後からの毎年の業務経歴や売上額と共に、所属組織、等級、役職、年収も整理しています。
自分の経歴、会社の評価を時系列に整理すると成長の過程がわかるのでおススメです。

4.経歴と客観的評価を分析する
技術者は自分の技術を売りにしているので、何を売っているのか、いくらで売っているのか(※)を把握しておくことが大切です。(※これについては後日深掘り予定)
自分の経歴や客観的評価を蓄積していくと、それは自分にとっても、技術者市場にとっても、貴重な情報となります。
時には俯瞰して、会社の評価は妥当なのか?と感じることもあるかと思います。その判断材料として、同業種で同年代の方との年収比較があります。(判断材料は年収以外にもポジション、ポスト等もあります)
手に入りやすい年収情報として、公表されている公務員の年齢毎のモデル年収があります。
私の場合、東京都と民間企業を比較検討した結果、民間企業を選択したということもあり、ついつい東京都を意識してしまいます。

5.自分の市場評価を把握する
今は様々な転職サイトがあり、誰でも気軽に登録可能です。そこでは勤務する会社以外の評価を得る機会があります。転職する気がなくても、自分の市場価値を知ることは大切なことだと思います。
私の調べによると、勤務している会社の人事部が自社の社員の市場価値を調べて「転職市場におけるあなた年収相場はこれくらいになります」と伝えてくれる企業もあるようです。企業が社員の市場価値を正しく把握して現在の年収の妥当性や、どこの会社よりも高く評価していることを示すことは非常に意義があることで、継続雇用や離職防止の観点からも重要だと思います。
社員はどこよりも評価してくれる企業にいたいものでしょう。

6.どこに行っても通用する技術者になる
企業に勤務する技術者ならば、企業が欲しがる価値を高め続けることが生きる道。
そんな技術者が企業の価値をも高める。

どこの会社よりも高く評価してくれる企業に在籍できることは良いことですが、一方で今いる会社でしか通用しないとなるとその会社に運命を預けることになります。
技術者としてのリスクマネジメントの観点からは、その業界の「どこに行っても通用する技術者」という状態を維持することが大切です。(継続研鑽)

「どこにいっても活躍できる自信はあるが、この会社が好きだからここにいる」
私にとって、企業勤めの技術者の理想の姿はこのように思うことができること。
教育思想は「どこに行っても通用する技術者を育てる」。
そのためには、他社のことも、技術者市場も日々リサーチする必要があります。

自分の勤めている会社以外の世界を知ると、いろんな意味で視野が広がります。
企業が自社の技術者を囲い込みたい気持ちは重々わかりますが、他の業界に転職されることは建設業界の大きな損失となるので、建設業界全体で技術者を育成することを意識する時代になりつつあると感じます。