技術士二次試験 解答を構成する3つの要素とポイント

技術士

ヘッダーメニューに「技術士二次試験で使える文末表現シリーズ」を追加しました。
これは、過去の技術士二次試験勉強時に自らの解答を見て「○○が必要である。」や「○○が重要である。」という表現が連発していて語彙力不足を実感し、作成したものがベースとなっています。
こんなのあったらいいなと思い、探してみると意外に無いのですね。(どこかの図書館にあるかもしれませんが、たぶん無い!)
無いなら作ろうということで、過去の合格解答や学術論文等を調べて整理しました。
コミュニケーション能力的に、これだけあれば技術士二次試験の筆記解答の表現力を豊かにすることはできるというレベル感です。
(あくまでも技術士試験向けであり、これが全てというわけではありません。学術論文の文末表現はもっと多様)

1.解答であって論文ではない
私個人的には、技術士の筆記試験は”解答”であり、いわゆる”論文*”ではないと考えています。出題者は”論文”は求めていないでしょう。問いに対する解答を求めています。この解答の内容は専門的学識として常識的であるもの、国や基準書などが示していることであり、特別な研究や開発の結果は求めていません。よって、解答に記載する技術的な内容は世の中に出回っている情報で足ります。

*論文:学問の研究成果などのあるテーマについて論理的な手法で書き記した文章。また、特定の研究成果についての記述ではなく、あるテーマについて論述する論文の一つの形式として小論文(レポートともいう)がある。出典: Wikipedia

技術士二次試験の筆記試験の解答は次の3つの要素で構成することができます。
<解答を構成する3つの要素>
①器(型):解答の型(記事:2枚でまとめ 技術士二次試験の体系と答案の型)
②材料(内容):専門知識とコンピテンシー(日々の学習)
③仕上げ(主張):文末表現

①と③のノウハウはこのホームページで得ることができます。
解答の型は、問い対して限られた文字数でしっかりと答えるためにも抑えておく必要があります。
また、問いに対して明確に解答していることを示すためにも、文末表現は重要です。
(例:課題を示せ。→~が課題となる。)
ちなみに論文の場合、論述を展開するうえで文章をつなぐ接続詞(よって、なぜなら、このため、しかし、さらに、なお等)が必要となることはありますが、技術士の解答の場合は、解答の説明の流れの中でどうしても必要であれば使うものと考えています。(極論を言えば接続詞がなくても伝わればOK)
②の専門知識は専門的な文献や実務で、コンピテンシーは日頃の業務で身につくものなので、これは各自が取り組んでいることになります。


2.解答の査読(添削)は必要か?
結論から言うと最低1回は査読(添削)を受けた方が良いです。もちろんたくさん査読してもらった方が解答のレベルは上がると思います。しかし、査読する側の労力(費用が掛かる場合も)や解答を自ら修正していく力を養うことを考えると査読に依存するのは避けた方が良いと思います。

私自身が査読を受けた経験は次のとおりです。
初受験 平成16年 水道部門 通信の査読1回 ⇒合格
2回目 平成22年 総合技術監理部門 査読なし ⇒不合格
3回目 平成23年 総合技術監理部門 社内の査読1回 ⇒合格
4回目 平成28年 上下水道部門(下水道) 査読無し ⇒合格(口述不合格)
5回目 平成28年 上下水道部門(下水道) 査読無し ⇒不合格
6回目 令和5年  建設部門 査読無し ⇒合格
筆記試験は6回受験、4回合格、査読を受けたのはは2回(ともに合格)でした。
振り返ってみると査読を受ければ合格していましたが、査読の回数はそれほど問題ではありませんでした。ただ、査読を受けた時には「なるほどな」という気づきがありました。
気づきを得るためには査読は必須です。
この気づきをきっかけに、(俯瞰力、違和感察知能力、自己修正能力を高められて)新たな気づきが自ら得られるようになれば査読はそれほど重要ではないと思います。

私は査読を100本以上行ってきましたが、査読する際のポイントは次の3つです。
<解答の読み手が見る3つのポイント>
文章が一度読んで理解できる内容か<器(型)>
(技術士二次試験レベルで)専門知識や専門用語を使って解答できているか<材料(内容)>
問いにしっかりと答えているか<仕上げ(主張)>

まず、②は専門的な基盤がないと、査読を受ける以前の問題となってしまいます。専門知識はⅡ-1の問題が解答できるレベルにあることが大前提です。逆に、あまりにも専門的でマニアックな解答は求められていないので、問われていることに対して簡潔にキーワードを交えて解答することになります。
そして、①と③は技術的な問題ではなく、読解力や文章表現力の問題です。文章作成に苦手意識がある方もいるかもしれませんが、この①と③は”解答の型”と”文末表現”でほぼ克服できるのではないかと思います。
そしてこの①と③については試験時間中にあれこれ悩まないためにも、自分のモノにしましょう。
読解力と文章表現力は技術士取得後もいろんな場面で求められますからね!