まち大へ行こう

まちづくり

「まち大」とは東大まちづくり大学院の略称。東大及び関係者はこの大学院をまち大と呼び、ここの学生はまち大生と呼ばれます。正式には東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 都市持続再生学コース。平成19(2007)年10月1日から、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・社会基盤学専攻・建築学専攻の3専攻を横断する社会人向け教育プログラムとしてスタート。都市計画・都市デザイン・都市地域環境管理・都市マネジメント・その他「都市づくり・まちづくり」に関する統合的・実践的・国際的な知識と技術を修得した高度専門職能人の養成を行うことを目的とする社会人向け修士課程(2年制)です。出典:東大まちづくり大学院
まち大は秋スタートです。私は2020年入学の第14期生ですが、4年前の今頃ワクワクしていました。
東大の教授・准教授等による体系的な講義の他にも、有名企業の寄附講座による最新の実践的な講義があり、社会人がまちづくりを学ぶことができる最高の場です。

(1)まち大の1年
1年はA1・A2の冬学期(10月~1月)とS1・S2の夏学期(4月~7月)に分かれていて、講義は火曜日から金曜日。土曜日は演習があります。
平日の講義は6限が18時40分~20時05分、7限が20時10分~21時35分です。講義での質疑応答は活発で、なかなか刺激的でした。8限と称して有志で居残りする場合も・・・。とにかく先生方がとても熱心で学生も熱心でした。
土曜日の演習は3~5限で13時00分~18時35分と長丁場です。演習はテーマやエリアが設定され、4~5名の班でフィールドリサーチ等を通じてプランを作成して発表・ディスカッションが行われます。最終的には外部団体等にプレゼンを行います。この演習は全部で4回行いますが、対象エリア、指導する先生、班編成、発表相手などがその都度異なるため、とても有意義かつ実践的でした。
ちなみに、講義、演習の時間以外にレポートやプレゼン資料作成の時間を確保する必要があります。土曜日の夜、日曜日などなど。1年目はこれがなかなか大変です。

(2)研究
研究したいことは願書提出段階で決めている必要があります。(研究したくて大学院へ行きたいので当然ですね)ただ、研究に着手するまでは、先生と相談しテーマを軌道修正することは可能です。
1年次に概ね必要な単位を取得し、2年次から指導教員(所属する研究室)を選択し、修士論文に取り組むことになります。働きながらだとなかなかハードスケジュールなので、長期履修制度を活用して3年間、4年間で計画を立てている方もかなりいます。
私は3年の長期履修でスタートしましたが、1年次のS1・S2でペースアップすることができ、2年次から修士論文に本格着手して、結果的に2年で修了することができました。
修論の指導教員は、専門分野などを考慮して指導いただく先生を希望することになりますが、先生によって個別指導重視、ゼミ重視と様々なようです。指導教員の他に指導協力教員による指導も希望することができます。私の指導教員は2週間~4週間ごとに成果を報告して指導をいただく個別指導方式でしたが、指導協力教員のゼミに参加することで他の学生の意見も聞くことができました。
修士論文はジュリー(各学期の終わりにある発表・審査会)を4回パスする必要があり、先生方にかなり厳しく責められます(笑)。私は褒められるより叩かれる方が伸びるタイプということを改めて自覚しました。修論は100ページくらいが一般的とされ、6枚程度の梗概にまとめます。
研究成果には満足していますが、心残りがあるとすれば在学中に査読付き論文として学会発表にチャレンジしなかったことです。(日本水道協会の水道研究発表会では東京大学大学院として投稿・発表しました。)

(3)学生
学生は1学年18名前後で、年齢は20代~60代と幅広く、女性比率も3~4割程度と高めです。バックグラウンドは土木・建築・不動産関係企業以外にも公務員、議員、コンサル、メーカー、IT、広告など様々で意外と文系比率も高い印象でした。また、同期以外でも講義等を通じてお互いを知る機会もあり、輪講などで学部生と関わることもありました。同期で博士課程に進む方も何人かいました。普段、会社では出会うことのないタイプの方にたくさん会うことができました。

(4)演習の一部紹介
土曜日の演習の成果の一部を参考までに紹介します。
1)A1:日常生活圏レベルの広がりを持つ地区を対象とするまちづくりの技法~秋葉原駅周辺~
回遊性の向上を狙ってペデストリアンデッキ等の整備を提案
※地域性、文化、ポテンシャル等を重視

2)A2:グローバル・リスクに適応するグランドデザイン(持続可能な都市圏計画)~宇都宮都市圏~
カーボンゼロへの取組みとしてあらゆる再生可能エネルギーを利活用した効果を試算
※QGISを活用

3)S1:パブリックライフ/パブリックスペーススタジオ―観察をベースとした公共空間の診断と改善の提案―~日暮里駅前広場~
ふわ布和広場=日暮里の伝統「布」の「和み」が生み出す一体感を提案
※属性別行動観察、SketchUp活用


4)S2:衰退傾向にある木造密集市街地のランドスケープデザイン~砂町銀座商店街とその周辺~
日常の食べ歩きの緑道が水害時の垂直避難場所への動線へ
※食×防災 備蓄庫のサブスクとルーフトップピクニック

(5)最後に
学部時代は大学院にいって学んだり、研究したりするなんて考えてもいませんでしたが、社会に出てみるともう一度学び直ししたいことや研究してみたいことが不思議と湧き上がってきました。そして、社会に出てから大学院に行く方が結構いるんだということに気がつきました。いくつからでも遅くはないと思います。まち大に興味がある方は是非!